設計・ものづくり

品質を上げる方法は?

設計レビューで品質を上げる

一般的に、設計の完了時あるいは途中経過において、検証することをレビューといいます。図面を作成した際の検図という行為も似たような点はありますが、検図は単に図面としての記載間違いがないかをチェックする行為と定義されます。

実際には、記載間違いをチェックする行為だけでは品質が上がらないため、図面に関わる部品やユニット、商品の機能を設計的な断面で確認しつつ検図をしているところが多いかと思います。

レビューする人をレビューワーと呼び、経験豊富な人が選ばれます。企業によっては、認定制にしているところもあるのですが、このレビューアーというのが問題になっています。

レビュー会議はいわゆるダメ出しの場となる傾向にあり、若手技術者はダメ出しの場で自信を喪失したり、自己嫌悪に陥ったりしてしまうのです。

設計ミスに対して、ベテラン技術者が、これでもかというくらいに上から指摘をする、今やはりのマウントを取ってくるわけです。

職人気質な日本人にマッチして、日本製品が世界を席巻していた頃は良かったのかもしれません。しかし、今の日本のモノづくりのレベルダウンを考えたときに、レビューのやり方が日本の設計力を停滞させた大きな要因の一つであると私は考えています。

それは、自ら設計したものをレビュー会議に持っていき、思いっきりダメ出しをされた時の辛さを身をもって体験しているからこそ言えることです。

ちょうどスポーツの世界において、コーチによって成績が全然変わる選手であったり、優秀な選手は優秀な指導者にはなれない、と言われる現象と似ているのではと思うのです。

どんな仕事もレビューの仕組みを

業績を伸ばしている中小企業をみていると、どんな仕事にもレビューの仕組みをうまく取り入れて、品質をあげています。

売上が好調だからと言って、レビューの仕組みを作らないまま従業員を増やすと、たちまち品質が下がってしまうからです。

レビューの仕組みは何もモノづくりに限ったことではありません。新聞記事などでも同じように原稿をチェックする工程がありますし、営業提案書やWEBデザインなどにも当てはまりそうです。

広い目線をもって、やり方をうまく考えれば、あらゆる仕事に対して通じる概念となることでしょう。

業務マニュアルを作成することも品質を保つ一つの手段であります。マニュアルに沿って仕事ができているかをチェックする仕組みがレビューと捉えると分かりやすいかも知れません。

企業としてのアウトプットの品質を上げる、誰がやっても品質が保てるようにする、そのためにレビューをうまく仕組化できれば、伸びてきた売り上げを落とさずに規模を拡大することができるでしょう。

誰でもレビューワーに

大手自動車メーカーにはレビュー心得10か条のようなものがあるくらい、レビューで重要なのは、レビューワーになります。

選手時代に優秀であった人がコーチになれるのではなく、コーチの資格を取得した人がコーチングできるようにするのが、よいレビュー会議にする大切なポイントです。

しかし、従業員数が限られている中小企業では、認定制は難しところです。そこで、おすすめなのが、全員レビューワー制です。上司、部下、経験年数、関係なく、品質が問われる仕事に関しては、全員で見直すという仕組みを作るのです。

一見手間なように見えますが、後々問題にならないように手を打つにはレビューしか方法はありません。また、技術向上の方法もレビューが最適な方法であることも言われています。

単なるダメ出しのマウント合戦にならない、建設的なレビューができる企業が生き残っていくことでしょう。

ABOUT ME
ゆうため
1978年生まれ 首都圏出身 地方都市在住 技術者として一部上場企業で20年勤務 独立めざして中小企業へ転職 コンサルティング会社からロボット会社を経て起業独立