仕事・転職

新規事業の捉え方

新規事業と従来事業

サラリーマン時代、特に大手企業で働いていたときのことを思い返すと、新規事業や新しいことをやっている時には、とかく社内摩擦に巻き込まれることが多かったように思います。

また、20年も同じ企業に勤めていれば、部署も変わることも少なくなく、幅広い業務をこなすようになります。

最初の10年くらいは、現場で色々と仕事を覚えていくのですが、そのうち部下をもってチームで仕事をするようになり、その統率力が認められると、別の部署を任されたり、新規事業のプロジェクトリーダーに任命されたりすることは、どの企業でも想像できるキャリア構築の姿だと思います。

そうやって30代から40代にかけて、現場仕事からマネジメント仕事を渡り歩くことと、肩書上の出世がほぼイコールで結び付けられるようになります。

「よいプレーヤーがよい指導者になることは稀である」というようなフレーズは、スポーツに限らず、一般の会社でもよく言われることで、当事者も「あれ、オレは仕事はできる方だったはずなのに、チーム運営となるとうまく仕事をすすめられないない」なんて感じている人は多いはずです。

「新しいことをすると社内的に揉めることと、マネージャー的な仕事でうまく能力を発揮できないことは、何か関連があるのではないか?」そう薄々感じてはいたのですが、あるセミナーで、私の感じていたことをうまく説明している方がいらっしゃったので、簡単に紹介できればと思います。

右手と左手

新規事業と既存事業を運営するにあたっては、根本的な考え方や求められる能力が違い、その違いを右手と左手で分けなければいけないという考え方があるようです。

右と左はつまり「リーダーの仕事とマネージャーの仕事は全く違うのですよ」ということらしいのですが、ここでは言葉の定義を深追いするつもりはなく、何となくのイメージでとらえて考察したいと思います。

・リーダーは、新しいことに対して、前に立って引っ張っていくイメージ

・マネージャーは、既存の仕事を管理して効率が上がるよう、後ろから押し上げるイメージ

その傘下で働くメンバー個別の仕事については、多岐に渡り一概に言えませんが、概ねプレーヤーとして仕事をするイメージとなり、新規も既存も大きな差がないと捉えます。

しかし、仕事に対するモチベーションとしては、大きく異なり、既存事業の収益を使って、新規事業を立ち上げる、という構造となります。

これは、経営者目線で考えれば、当然のことなのですが、現場の人たちにとっては、簡単に整理できる内容ではなく、悪く言えば「稼げる人たちが、コツコツと利益を上げていったお金を、金食い虫が好き勝手に使いまくる」というようなイメージとなってしまい、お互いに仲が悪い状態となってしまうのです。

さらにややこしいことに、リーダーとマネージャーは全く別の性質のもの、であることは明確であるのに、30代から40代にかけて、いわゆる係長から課長に昇進した瞬間に、この2面性のある業務を一人で二役こなさせるのが、ほとんどの日本企業になります。

もっと言えば、組織体としても既存事業をこなしながら、新しいことにも取り組む、という企業も少なくありませんので、そこで生じる様々な摩擦やストレスは半端ないことは理解できることだと思います。

新規事業と既存事業は混ぜるな危険

セミナーで協調していたことは、これらの二つの事業は混ぜない方がよいという見解で、いわゆるイノベーションを求められる組織は、出島組織にするべきだというのです。

出島組織を成功させるカギは、既存事業のルールなどに縛られないようにするということで、組織としては、まったく外部でやらせるか、内部にやらせるにしても、特権を与えた組織をつくるか、の2択を選ぶ方がよい、というのが結論となります。

「あいつら、こっちが稼いだお金で、美味しいことばかりしやがって」なんていう社内摩擦が生じるだけでなく、新規事業を社内内部にやらせてしまうと、NDAなどの契約の話や、設備使用の管理など、とにかく面倒な仕事が足かせとなってしまって、新規事業を前に進められなくなるのです。

こんな理想的な組織にしたくてもできない、というのが現実であって、既存事業と新規事業がごちゃ混ぜになっている状態を普通と捉えた方が良いのかも知れません。

であるならば、リーダーやマネージャーやプレーヤーの人、つまり経営者以外の人は、混ぜたら危険である状態に身を置いている、と意識して、時には自分の立ち位置を変化させながら仕事をするのが賢明なのではないかと感じましたので、セミナーの話を紹介いたしました。

最後に、参考にさせていただいたセミナーで登壇されていた方の著作本のリンクを添付します。

ABOUT ME
ゆうため
1978年生まれ 首都圏出身 地方都市在住 技術者として一部上場企業で20年勤務 独立めざして中小企業へ転職 コンサルティング会社からロボット会社を経て起業独立