仕事・転職

転職で生まれた空白の3ヵ月

大手企業から中小企業に転職した後、さらにもう一社中小企業で働くことになりました。

2社目と3社目の間には、諸事情によって3ヵ月の空白の時間が生まれたのですが、今思えば、その間の経験や、その間を過ごしたことが後に独立するときの恐怖を和らげてくれていたようです。

無職の状態でも問題なし

色々と事業があって、2023年1月~3月末まで丸々3ヵ月間、無職の状態となっていました。

厳密には、1月17日が退職日となっていますので、2.5ヵ月ではあるのですが、通勤するという断面でいくと、本当に3ヵ月間は無色と同じ状態でした。

とは言え、早朝4:30に起床することは継続していましたし、できる限りのルーティンは崩さずに日々を過ごしていました。

その間は、家の手伝いに加えて、友人の手伝いとして以下のことを対応していました。

  1. 小規模なコンサート事業の補助金サポート(文科省の補助金)
  2. 飲食店舗開業のサポート(政策金融公庫の創業融資)
  3. 経産省、農水省、総務省の補助金や助成金の調査

これらの仕事は友人からの依頼でアルバイト的に対応したものであるのですが、「こうやって自由な時間が生まれていることを発信すると仕事を与えてくれる人がいるのか」と体感することができたのは大きな経験でした。

「きっと、起業しても最初の頃は知り合いから仕事を引き受けることが多いのだろう」「そのためにも知り合いを増やすこと、知り合いからの信頼を獲得すること」というマインドが企業には大切なことなのだろう、と薄々感づいたのかも知れません。

それ以外の時間は、診断士の試験勉強に充てていたので、暇することなく、淡々と日々を過ごすことができました。

お手伝いで仕事の幅を

異業種のお手伝いをすることが、まさか一年後に活動の場の広がりが生まれるなんて思ってもいませんでした。

一つ目の文科省の補助金についてですが、私はこれまで男子高校、機械科の大学を出て、製造業の設計担当と、ゴリゴリの油にまみれた工学系男塾を経験してきているため、アートというものには触れる機会がありませんでした。

それが、このお手伝いを通じて、多少なりともアートの世界の方とご一緒することができたことで、起業後の交流会の場でちょっとした話題提供をすることができるようになっていたのです。

交流会の中には、当然音楽を趣味にされている方もいるのですから、会話の中でピアノの話になることもあります。

異業種のお手伝いを経験していなかった私なら、「ちょっと話の合わない人だな」と思って会話を広げることすらできなかったと思うのですが、思い切って知らない世界の経験をすることで、会話からさらに新たに知らないことを聞くことができ、人脈まで形成することができるのです。

二つ目の飲食店のサポートについても、その時は配膳ロボットを販売しようなんて微塵も思っていませんでしたが、今となっては事業の柱として飲食店向けの配膳ロボットを担いで営業をしているのだから不思議なものです。

三つ目の農業系の補助金コンサルティングにしても、スマート農業という分野において切り込んで営業活動ができているのも、その時の手伝いが多少なりとも活かされてきている状態です。

その時その時のお仕事や出会いを大切にして、依頼されたことに対して真摯に向き合っていけば、いずれ点と点が結ばれるものなのかも知れません。

雇用された際に感じるスピード感

そんなこんなで2023年の4月3日から、最後となる企業で働くことになったのですが、その時感じたのは、「中小企業であっても決断して行動するにはスピードが遅いな」という感情です。

それなりの役職につけば金額的にも大きな裁量権が得られて、経営者目線で仕事ができるものだ、そう思っていました。

しかし、実際は、どんなに少額でも、自分で決めて自分で責任を取ることができるのは経営者だけである、という現実があることに初めて気が付くことができました。

組織というのは、担当者が集めた情報を報告して、リーダーが判断をすることになるのですが、判断材料がないものを決断することができるのは、経営者のみである、ということです。

入社してまず取り掛かったのが、とあるモビリティの拡販を企画・販売することなのですが、これまで世の中にないものを売っていこうというのですから、片っ端から仮説検証を繰り返していかなくてはいけない状況であるのに、組織で動こうとすると、仮説に対してちゃちゃ入れが入って前に進まない、検証についても「経費はどこから出すのか」「売れる見込みがあるのか」などネガティブ発言がでてしまって身動きがとれなくなるのです。

仮にすんなりと承認が下りたとしても、ワンテンポ、ツーテンポくらい遅くなるのが組織として働くことなのだと痛感してしまったのです。

逆に、経営者の立場になると、自分がやらずに人にやらせるのであるから、ツーテンポ遅れようが、しっかり動いてくれているのならば問題なく、優先順位が高いと思う案件は自ら動くか、すぐに動くように指示をすればよいのだから、仕事に対してのストレスは何も生じないのです。

こういった考察は、フリーの3ヵ月間がなければ気が付くことができなかったと思っています。

転職から独立するにあたって、大手から中小企業で経験することが必要だと思って行動していたのに加えて、偶然ですが、途中で3ヵ月間フリーの状態で過ごすことができたという経験は、その後色々な部分で活かされることになりました。

ABOUT ME
ゆうため
1978年生まれ 首都圏出身 地方都市在住 技術者として一部上場企業で20年勤務 独立めざして中小企業へ転職 コンサルティング会社からロボット会社を経て起業独立