経営者であれば会社を潰さないように経営していくために、とても参考になる本です。
では、私たち、サラリーマンはこの本から何を学べば良いのでしょうか?
会社が傾いたら転職をすればよいのさ、そう思っている方は突如訪れる会社崩壊への備えはできているでしょうか?
そもそも、その崩壊のシグナルはどこから察知すればよいのでしょうか?
そう思っている方に、私の実体験を交えて解説していきます。
得意先から逃れられずに衰退
お客様が求めることに対して、
「真っ当に技術開発をしている企業こそイノベーションのジレンマに陥るのである
そう警鐘を鳴らすのがこの本で述べられていることです。
求められる市場要求に応えるべく技術開発をして商品化を成功させる。
そして、売り上げが上昇し、得られた利益を投資に回してさらなるイノベーションを繰り返す。
再びお客様が喜ぶ、という好循環は、どのビジネス書にも書かれている、どこも間違っていないストーリーと思われるのではないでしょうか。
好循環のストーリーにはまればはまるほどジレンマに陥る、そういった内容の書籍になります。
できるときに投資 その時の注意点
企業は儲けた利益を未来のための投資に回します。
利益が出たのに投資をせずにいる企業は論外、利益が出ない企業は、まずは利益が出るように工夫しましょう、ということなのですが、利益が出て、将来のために投資をしている企業は何を気を付ければよいのでしょうか?
それは、儲かっているからと言って油断をするな、今の事業はいつつぶれるか分からない、という危機感を経営者だけでなく従業員も気にしましょう、ということです。
「そんなの分かっている」「常に商品開発・改良を考えているよ」という声も聞こえてきますが、本当に胡坐をかいていることはないでしょうか?
売上は大切ですから、今売れている商品はなかなか手放せないものです。例えば、自動車に関しても、エンジンから電気にシフトしていますが、今なおエンジン関係の部品やメンテナンスを生業にしている人は少なくありません。
いつ、パタッと注文が入ってこなくなるか分からな状態であるのに、中小企業であれば、人手が足りないために、売り上げが上がっているうちは対策ができないのも事実です。
油断するなという気持ちの問題をクリアにできたら、とにかく新規事業のために時間を費やすことです。
一日一時間、一週間に一日だけ、というように決まりを設けて、今の事業がなくなったら何で売り上げを立てるかを従業員自ら考える癖をつけるのも一つの手です。
ゲリラ部隊を活かせるか
大手企業であれば、新規事業のために組織を形成することも少なくありません。
私も大手で働いていた晩年は新規事業立上げを任された組織にいました。いわゆるゲリラ部隊です。
ゲリラ部隊である以上は、社内のルールや秩序をある程度無視して、市場の声に耳を傾けて新たな価値を創造する組織となります。
ここで足かせとなるのが、身内です。社内の既存商品を担当している仲間からうらやましがられたり、時には「自分たちばかり好き勝手なことばかりやってふざけるな」と罵声を浴びせられることもあります。
新しいことをやる、社外の声に耳を傾ける、こういったことをすると社内摩擦が少なからず生じるものです。
この社内摩擦が生まれにくい風土の文化を持った企業が永く存続し続けると考えています。
私は社内摩擦に心折れた部類の人間です。全ての人が私のように弱い人間ではないでしょうけれども、少なからずとも社内摩擦が心地よいという人は多くはないはずです。
ゲリラ部隊を活かせる社風であるか、これがイノベーションのジレンマに陥らない企業となっていくでしょう。
会社のために、その前に自分のために
経営者だけでなく、個人も会社の事業を考えて行動すべきと主張してきました。
会社に貢献できるように個人の能力を発揮する、という姿勢がないと会社の事業のことまで考えるのは難しいかもしれません。
しかし、これは会社のために滅私奉公するべきと言っているわけではありません。
まずは、個人の幸せを十分に理解してから働くことに結び付けるべきと考えています。自分の人生をどうするのか、そのレールを敷くことが第一、そのレールの上をどんなマシンでどのようなスピードで走るかを選択するイメージです。
長らく、終身雇用、年功序列で生きてきた日本人んにとって、乗り物に乗ってしまって、レールは会社が敷いてくれるもの、という意識が強くなってしまっていると感じています。
いったん、大手企業の安定という乗物から降りて、一からレールを敷きなおすことを人生をかけて実験している身です。
この姿勢が正しかったかどうか、それはこれから先の実験結果が物語ってくれます。ハッピーエンドにならなくとも、面白いストーリーとなるように頑張っていきたいと思う今日この頃です。