即断即決が中小企業の持ち味
大手と中小企業での違いの一つに、時間の捉え方が挙げられます。大手は何をするにも承認が必要で、動きが遅いのはよく知られていることです。
一方で、中小となると社長の一声で急発進、急ストップは当たり前です。なぜならば、もたもたしていたらビジネスチャンスを損ねる、つまり稼ぎが減るということに繋がるからです。
中小企業は、内部留保も少ないから常に稼ぎを気にしなくてはいけなくて大変、と思われがちですが、果たして本当にそうなのか、疑問に思っていました。
確かに、大手に比べると一つの失注が大きな痛手になりますので、背に腹は代えられない事情はあります。しかし、うまく経営をしている中小企業は、金銭的な事情で判断を早めているだけではなさそうなことに気が付きました。
ベースがあってこそのチャレンジ
ある程度リスクをとりながら、即断、即決で新しいことにチャレンジするには、ベースとなる事業で安定した収益源が残せている場合に限ります。
うまく経営をしている企業は、安定した収益を得られるように、仕事が仕組化されて動いていることが多いです。
そして、現状維持では衰退していってしまう、という市場の原理、厳しさを知っているため、安定の裏で新たなビジネスにトライを繰り返している企業が即断・即決で動いているのです。
このような企業が今のところ私が見た優良企業の在り方です。
従業員にとっては、新たな事業をやらずに給料に還元してほしい限りですが、給料を含めた事業計画は中小企業であれば社長が独断で決めていると言って過言ではありません。
ビジネスには旬がある
自動車の電動化やカーボンニュートラルといったニュースに取り上げられるキーワードは、旬であり、いくらでもビジネスチャンスが潜んでいます。
だからといって、これが5年、10年、どっちの方向に動くのか?と見定めていて、何も手を打てない企業は少なくありません。
例えば、次世代の車は電池なのか燃料(水素)なのか、という議論もあり、なかなか投資先を決めかねている企業は、そもそも資金源が豊富でなかったり、過去のビジネスの成功を食いつぶしてきているだけで、常に即断・即決のビジネスをしてこなかったところが多い気がします。
儲かっている企業は、この旬は1年で終わったとしても次に行けばいい、5年旬が続けば儲けも、くらいの感覚でチャレンジを続けているものです。
大手にいると、未来永劫続くビジネスを創造することが正義と捉えがちで、私もそのような方針のもと20年働いてきましたが、よく考えれば、永遠に続くビジネスなど存在しません。
常に新しいビジネスにチャレンジしてものにする力を身につけていかなければいけないと感じる今日この頃です。
もっとも、大手であれば、私たちが生きている間は十分すぎるくらい存続するビジネスに携わっている人も多いと思います。
そういう人は、競合に取って代わられない自社の強みに自分の能力を発揮する、いわゆる大手の働き方ができるように能力を磨けばよいのだと思います。
私は、自分の持ち味は新しい発想で市場のニーズに応える能力だと考え、社内すり合わせの内部的な仕事に時間を費やしたくない、と大手企業を飛び出しました。
市場の声を聞いて解決策を提案し続けること、これを忘れずに日々の仕事に取り組む所存であります。