パイロットにとっての飛行機のバラつき
以前、パイロットの友人に「プリウスとジャンボジェットどちらが運転していて機体のバラつきが大きい?」と聞いたことがあります。
答えは、飛行機の方が機体差が小さい、というとのことでびっくりした覚えがあります。
ただし、それは工場出荷時のバラつきではなく、あくまで毎回毎回、空港でメンテナンスが施されているからこその話であります。
スイッチ一つとっても、ちょっと押し具合が硬いなと感じたら、すぐにメンテナンスを呼んで点検・修理してもらうそうです。
メンテナンス技術のすばらしさに感動するとともに、車もメンテナンスすることによって、新車時よりもブラッシュアップされていい車になっていくのになぁ、と考えさせられるエピソードでした。
日本人が忘れているメンテナンスの大切さ
ヨーロッパでは、AT車よりもMT車の方が好まれるそうです。そもそも車はメンテナンスするものという認識も強く、運転もミッションを操作した方が心地がよいと思われているからです。
一方で日本は、AT限定免許もあるくらいAT車が普及してしまいました。これは簡単で安全な運転という理由だけでなく、メンテナンスしなければいけない機器が好まれない日本人の特徴が出ているのかも知れません。
車に限らず、家電にしろOA機器にしろ、ノーメンテが一番よい機器であるという考え方が浸透してしまっています。
さらには、修理メンテすることが不良品と捉えてしまい、クレーマー文化にまで発展してしまっています。
裏を返せば、それだけ高品質でバラつきがない機器製品を工場出荷時から製品寿命まで維持し続けるモノづくりができた日本ならではの文化とも言えます。
しかし、結果的に日本のモノづくりや経済は下降の一途をたどっていて、どこからメスをいれればよいかも分からない状況です。
ひょっとするとメンテナンスの大切さを今一度浸透させることで、経済の立て直しができるのではないか、そう思う今日この頃です。
設計品質でも製造品質でもなくメンテナンス品質を
設計者の端くれである私が、こんなことを言うのもなんですが、設計品質なんてたかがしれています。
使っていくうちに、味がでて渋みを増す製品、そんな機械が美しい機械なのです。人類が生み出した最高峰の飛行機が正にメンテナンスで美しさを維持しているのですから間違いありません。
設計者もその点を理解して設計をすればよい製品を設計することができることでしょう。