20年勤めた大手企業を退職して、中小企業を2社渡り歩きました。
大手であろうと中小企業であろうと、組織ができれば、人がついて指揮命令系統が生まれ、仕事が進んでいきます。
そこで発生する問題・悩みというのは、どの会社でも同じだな、と思うことがありますので、それを記事にしていきたいと思います。
トップの影響力
ほとんどの人が意識しない点ですが、複数社勤めてみると、客観的に会社というものをとらえて、改めて感じることが多くあります。
その一つに、会社というのは、意外と会社法や労働基準法で決められた枠組みに縛られているということが挙げられます。
つまり、株式会社であれば、株主がいて経営陣が会社を経営する、その傘の下で、多くの労働者が雇用されている、という構図です。
大手企業に勤めていると、上司は会社トップの代弁者というように感じます。
確かに、課長以上は半分経営側に立っているという面はありますが、基本的には雇われている労働者の延長と言えるでしょう。
また、代表取締役などの役員であっても、創業者や創業家の人間でない場合には、経営を司っているものの、独裁的に事業判断をしている経営者は少なく、いわゆる雇われ社長のような存在になってしまっている例は少なくありません。
法律上では、株主と会社役員は明確な違いがあるものの、どうも日本の企業では、旧財閥系の企業や一部の大手企業を除いて、ほとんどが創業者ないしは創業家が、社内の決定事項における大きな影響力をもっているように感じます。
経営のトップが創業家であれば、良くも悪くも独裁的な経営手法で切り込んで行くことができる一方で、雇われ経営陣が指揮を取ると、誰でも判断ができる事業(つまり儲かっている事業)については進んでいきますが、そうでないと滞ります。
雇われ経営者がリスクを取って事業を進める、誰も判断できないような決裁を独断で承認して、バッタバッタと事業を成功させていく雇われ経営者はそう多くはありません。
それくらい、労働者しか経験していない人が経営をすることは難しいと言えますし、それくらい創業トップの影響力は強いと言えます。
管理部門と技術部門・営業部門のバランス
株式公開をした会社では、株主に対して業績公開の義務が生じるため、表向きな管理業務が多くなる傾向にあります。
経理上の不正やコンプライアンスなど、厳しくルール化して取り締まっていく、学級委員長の集まりのような部署が力を持つようになります。
それに対して、多少のルールは拡大解釈しながら事業を進めていく、営業部門や技術部門にとっては、管理が厳しくなると、面倒な仕事が増えるだけで、自由に仕事ができない、といった側面が強くなります。
管理も事業推進も大事なことです。
このジレンマに対しては、厳しくなりすぎたらルールを緩め、不具合や事故が発生したらルールを作る、というような規制と規制緩和を繰り返し、うまいバランスを取りながら事業運営をしていく、という方法しかなく、その点については、大手も中小も大きな差はありません。
最大の課題はコミュニケーション
トップが難しい判断をして事業を大きくさせていき、一方で管理をしっかりして事業が健康である状態を維持していく、というのが会社経営とも言えます。
会社が大きくなっていくと、人も増えて組織が発生し、組織間での連携が事業推進に大きく影響してきます。
事業が上手く進まない最大の原因の一つにコミュニケーションがあります。
コミュニケーションについてのノウハウやビジネス本は星の数ほどあるにもかかわらず、人はコミュニケーションエラーを繰り返します。
小さな会社では、コミュニケーションを取るためのルールがマニュアル化されていないことが多く、その点を解消するだけで、大きく改善できるようになります。
マニュアル化できたところで、絶対にうまくいかないのがコミュニケーションで、人類の永遠のテーマと言えます。
コミュニケーションについては、人それぞれ気を付けているポイントやポリシーががあるように感じていまして、それが永遠のテーマとしてしまっている節もあるように感じます。
・組織の目標や使命を逸脱しないように伝える
・嘘をつかずに伝える
・伝える相手のことを考えてから伝える
・聞くときはしっかりと相手の声を聞く
・本音の部分を言ってもらえるように聞く
などなど、間違ったことは一つもないのですが、状況やシチュエーションによって、大切にするポイントの優先が変わっていくのも、コミュニケーションを難しくしている要因です。
とにかく、人が集まればコミュニケーションが難しくなるのだから、言う方も聞く方も気を付けていきましょう、情けない結論を出して、この記事を閉めたいと思います。
ありがとうございました。