補助金サポートの相場
中小企業庁や文化庁などが募集している様々な補助金がありますが、事業者(企業や任意団体など)が自ら応募して実施している例は多くはありません。
大半の事業者は、コンサルタントに依頼をして、補助金サポートとして代行を依頼しています。
サポート費用としては、着手金で数万円、報酬は成功報酬として補助額の10%前後というのが相場のようです。
補助金の額には、導入設備や事業区分など、補助金の要項にもよりますが、数百万から数千万、中には億を超える場合でも採択されるケースもあります。
補助金のサポートとしては、基本的には以下のようになります。
①採択されるまでの事業申請までの作業(主に事業計画などの文書作成)
②採択されてから交付決定、事業報告までのサポート(遡り事業もあり、概ね1年程度)
③事業完了から5年間の経過報告のサポート
補助金の額に関係なく①-③の業務が発生するわけですが、①は着手金の前払いによって実行し、③は別途注文を受ける形で実行します。
②の業務は、成功報酬としているため、受け取る(事業者側からは支払う)額に幅があります。
事業の内容によって多少の作業分量は違うにしても、そこまで大きく変わらない仕事内容にもかかわらず、成功報酬の額は数十万円から数千万円とは幅が大きくなるのが特徴です。
個人事業として補助金サポートをする場合には、一仕事でメシが食えてしまうケースも少なくないため、「補助金バブル」なんていう言葉も、一部では流行っているようです。
補助金サポート横行するわけ
なぜ、補助金の額によってコンサルに支払う金額が膨大になるのに、身銭をはたいてまで申請から報告までを外部委託するのでしょうか?
補助金を受け取らないことを考えたら、たかだか10%を支払うだけで90%分を補助受けられるなら、やった方がまし、という意見が多いようです。
自分で対応をした社長でも「5年間も報告義務があって、大変なので、次は外部に委託する」という人もいて、厳しい審査と厳しい報告義務がある補助金は、とても面倒なようです。
面倒なら、外部に委託せずに社内の従業員にやらせればいいのではないか?
そう考える人もいるでしょう。
私もその疑問が分からずにいましたが、「きっと、そういうことだろう!」という腑に落ちる理由が分かりました。
国が定める補助金は、基本的には事業者が申請をするもので、事業者としての財務を提示しなくてはいけないのです。
財務諸表には、会社の収支が記載されているだけでなく、従業員報酬や役員報酬まできっちりと記載されているものなのです。
ここが、社長(経営者)が従業員に補助金申請業務をやらせない理由があります。
「社長は自分に多額の報酬を与えているのに、従業員にはこれっぽっちしか給料を与えていないのか」そう思われてしまうのは関の山ではないでしょうか。
代行業として残る!?
理由はどうあれ、国が補助金制度を続ける限り、補助金サポート事業はなくならないでしょう。
個人事業でサポートをしている人も増えてきていますし、「補助金バブル」はしばらく続くにしても、競合が増えて価格競争が激化したらどうなっていくのか、見届けようかと思います。
補助金サポート事業がコンサルタントなのか?と言われたら、難しいところです。
そもそもコンサルタントの定義が曖昧なので、コンサルタントでよいと思いますが、どちらかというと、代理業務の方がしっくりきます。
事業計画を練る部分などは、コンサル的な要素がありますが、「コンサルタント=事業指南」という面もあるのに対して、補助金サポートは、採択されないければ始まらないという性質上、どうしても「採択されることを最優先」とした業務となってしまいがちです。
国としても、本来は事業者が申請・報告をする義務があるとしている補助金に対して、外部者がサポートをしている実態を容認しています。
業務内容としては、確定申告などと同じような手続きで済むケースもありますが、基本的には作文が必要となるため、その文章書き(ライティング)の部分で、外部へ代行委託をしているといってもよいでしょう。
税務関係をサポートするのが税理士、労務関係をサポートするのが社労士、それに対して、補助金のサポートが中小企業診断士、という流れも一部であります。
日本のMBAと言われる中小企業診断士が、補助金申請の代行業で終わってしまうのはさみしい気もしますが、補助金がある以上は仕方ないのかな、と思います。
そういう私も、独立した暁には、何らかの形で補助金に携わることになるでしょうから。